バイクのエンジン音が心地よく響き、風を切って走る爽快感は何物にも代えがたい魅力があります。しかし、いざツーリングに出かけようとした時、「何を持っていけばいいの?」「出先でトラブルがあったらどうしよう」と不安を感じたことはありませんか?
特に初心者の方にとって、持ち物の準備は悩みの一つかもしれません。忘れ物をしてせっかくの絶景や美味しいグルメを楽しみきれなかったり、急な雨でずぶ濡れになってしまったりしては、楽しい思い出も台無しです。
そこで今回は、バイクツーリングに必要な持ち物を徹底的にリストアップしました。絶対に外せない必需品から、万が一のトラブルに備える安心グッズ、そしてベテランライダーも愛用する快適アイテムまで、幅広くご紹介します。日帰りツーリングから宿泊を伴うロングツーリングまで、このリストさえあれば準備は万全です。不安を解消し、心からツーリングを楽しむための準備を一緒に始めましょう!
絶対に忘れてはいけない「基本の装備・必需品」
ツーリングの計画を立てて、いざ出発という段になって「あれがない!」と慌てるのは避けたいものです。まずは、法的に必要なものや、バイクに乗る上でなくてはならない基本装備から確認していきましょう。これらは「持っていく」というよりも、身につける、あるいは常に携帯すべき最重要アイテムです。
免許証と車検証・自賠責保険証
当たり前のことですが、運転免許証は不携帯で運転すると交通違反になります。意外と多いのが、普段使っている財布から別のバッグに入れ替えた際に忘れてしまうケースです。また、車検証(250cc以下の場合は軽自動車届出済証)と自賠責保険証書も必ずバイクに積んでおくか、携帯する必要があります。万が一の事故や検問の際に提示を求められるため、原本を防水ケースに入れてシート下に収納しておくか、コピーを携帯することをおすすめします。
ヘルメットとグローブ
これも基本中の基本ですが、ツーリングにおける快適性を左右する重要なギアです。長距離を走るツーリングでは、風切り音や風圧が疲労に直結します。フルフェイスやシステムヘルメットなど、静粛性が高く顔全体を保護できるタイプが疲れにくくておすすめです。グローブに関しては、操作性を重視しつつ、転倒時のプロテクション機能もしっかりしたものを選びましょう。夏場でもメッシュ素材のグローブを着用し、素手での運転は避けるのがライダーとしての嗜みです。
現金とクレジットカード・ETCカード
キャッシュレス決済が進んでいるとはいえ、地方のガソリンスタンドや個人経営の食堂、有料道路の料金所などでは、現金しか使えない場所がまだまだあります。千円札と小銭は必ず用意しておきましょう。また、高速道路を利用するツーリングではETCカードが必須です。出発前に車載器にカードが挿入されているか、有効期限が切れていないかを確認する癖をつけておくと安心です。
スマートフォン
現代のツーリングにおいて、スマートフォンはナビゲーション、連絡手段、カメラ、情報収集ツールとして欠かせない存在です。地図アプリを使えば渋滞情報をリアルタイムで把握でき、ツーリングルートの変更もスムーズに行えます。ただし、走行中の操作は大変危険ですので、必ず安全な場所に停車してから操作するようにしましょう。
トラブルを未然に防ぐ「安心・安全グッズ」
楽しいツーリングを一転させてしまうのが、予期せぬトラブルです。天候の急変やマシントラブル、体調不良などに備えておくことで、心に余裕を持って走り続けることができます。
レインウェア(雨具)
「今日は晴れ予報だから大丈夫」と油断してはいけません。特に山間部では天候が変わりやすく、予報にない雨に見舞われることがよくあります。バイクで雨に濡れると体温が一気に奪われ、体力と集中力が低下して事故のリスクが高まります。そのため、レインウェアは常備しておくべき必需品です。選ぶ際は、蒸れにくい「透湿防水素材」のものを選ぶと、雨の日でも快適に過ごせます。また、コンパクトに畳めるタイプなら荷物のスペースを圧迫しません。
パンク修理キットと車載工具
ツーリング先、特に携帯の電波が届きにくい山奥でパンクしてしまった場合、自力で何とかしなければならない場面も想定されます。チューブレスタイヤであれば、外面から修理できるキットを持っておくと安心です。また、バイクに付属している車載工具だけでなく、使い慣れたドライバーやレンチ、タイラップ(結束バンド)、ビニールテープなどを小さなポーチにまとめておくと、ミラーの緩みやカウルの脱落など、軽微なトラブルに応急処置で対応できます。
予備のレバー類
立ちごけをしてしまった際、運が悪いとブレーキレバーやクラッチレバーが折れてしまい、走行不能になることがあります。レバーが折れると自走して帰ることが困難になるため、予備のレバーをシートバッグの底に忍ばせておくベテランライダーも多いです。もし交換作業に自信がなくても、部品さえあれば近くのバイクショップや親切なライダーに助けてもらえる可能性があります。
救急セットと健康保険証
転倒による擦り傷や切り傷の手当てができるよう、絆創膏や消毒液が入った簡易的な救急セットを持っておくと良いでしょう。また、旅先で急病や怪我に見舞われ、病院にかかることになった場合に備えて、健康保険証も必ず携帯してください。
ツーリングを快適にする「便利アイテム」
必需品ではありませんが、あるとツーリングの質がグッと上がる便利なアイテムたちです。これらを活用することで、疲労を軽減し、より純粋に走りと景色を楽しむことができます。
スマートフォンホルダーとUSB電源
もはや必需品と言っても過言ではありませんが、スマートフォンをハンドルの見やすい位置に固定できるホルダーは非常に便利です。ナビを見ながら走行できるため、道に迷うストレスから解放されます。同時に、GPSや画面常時点灯でバッテリーを激しく消耗するため、バイクのバッテリーから給電できるUSB電源を設置しておくことを強くおすすめします。
モバイルバッテリー
バイクから電源を取っている場合でも、休憩中にスマホを使ったり、インカム(通信機器)やアクションカメラを充電したりするために、モバイルバッテリーが一つあると安心です。大容量でコンパクトなタイプが各社から販売されていますので、ツーリングの長さに応じて容量を選びましょう。
キャップ(帽子)
ヘルメットを長時間かぶっていると、どうしても髪型が潰れてしまいます。休憩時や食事の際、ヘルメットを脱いだ後の髪の乱れを気にするのはストレスになります。サッとかぶれるキャップやニット帽を持参しておけば、バイクを降りた後の観光や散策もスマートに楽しめます。
ウエットティッシュとタオル
ヘルメットのシールドに虫がぶつかって汚れたり、休憩中に手を拭いたりするときに、ウエットティッシュは大活躍します。特に夏場は顔の汗を拭くのにも重宝します。また、フェイスタオルが一本あると、急な雨で濡れたシートや荷物を拭くことができ、首に巻けば日焼け防止や防寒対策にもなります。
スタンドプレート
キャンプ場や未舗装の駐車場など、地面が土や砂利で柔らかい場所にバイクを停めるとき、サイドスタンドが地面に埋まってバイクが転倒してしまう恐れがあります。そんな時にサイドスタンドの下に敷く「スタンドプレート」があると便利です。専用品でなくても、空き缶を潰したものや、かまぼこ板などでも代用可能ですが、専用品は紐がついていて回収しやすく作られています。
季節別:夏と冬の「プラスワン装備」
バイクは体が剥き出しのため、外気温の影響をダイレクトに受けます。季節に合わせた装備をプラスすることで、過酷な環境も快適なツーリングに変えることができます。
【夏】熱中症対策と快適グッズ
夏のツーリングは暑さとの戦いです。走行風があるとはいえ、アスファルトからの照り返しやエンジンの熱気は想像以上です。
まず、首元を冷やすネッククーラーや、水で濡らして使う冷却タオルが効果的です。ジャケットはフルメッシュのものが必須ですが、その下に着るインナーも速乾性・冷感素材のものを選びましょう。また、こまめな水分補給ができるよう、ペットボトルホルダーを装着したり、ハイドレーションシステムを利用したりするのも一つの手です。日焼けは体力を消耗させるので、アームカバーや日焼け止めも忘れずに。
【冬】徹底的な防寒対策
冬のツーリングでは「寒さ」が最大の敵です。体が冷え切ってしまうと、ブレーキングやクラッチ操作が遅れ、事故につながる危険性があります。
使い捨てカイロをお腹や背中、靴の中に貼るのは基本中の基本です。さらに、ネックウォーマーで首元からの冷気の侵入を防ぎ、オーバーパンツを履いて下半身を保温しましょう。最近では、モバイルバッテリーで発熱する電熱ベストや電熱グローブも普及しており、これらを活用すれば真冬でも快適にツーリングを楽しむことができます。シールドの曇り止め対策も安全運転には欠かせません。
宿泊ツーリングならではの持ち物
日帰りではなく、一泊以上のツーリングに出かける場合は、生活用品が必要になります。荷物が増える分、いかにコンパクトにまとめるかが腕の見せ所です。
着替えと圧縮袋
宿での浴衣やリラックスウェアがあると、ライディングウェアの締め付けから解放されてしっかりと休息できます。翌日の着替えも含め、衣類はどうしてもかさばるため、衣類圧縮袋を使って体積を減らしましょう。100円ショップで売っているもので十分機能します。
洗面用具・アメニティ
ホテルや旅館にはアメニティが揃っていることが多いですが、キャンプ泊やライダーハウスを利用する場合は持参が必要です。シャンプー、ボディソープ、歯ブラシセットなどをトラベル用の小さなボトルに詰め替えておきましょう。女性ライダーの場合は、スキンケア用品やメイク道具も必要になりますが、試供品を活用するなどして荷物を減らす工夫が大切です。
各種充電器と電源タップ
スマホ、インカム、カメラ、モバイルバッテリーなど、充電が必要な機器は意外と多いものです。宿のコンセントの数が足りないことがあるため、複数のポートがあるUSB充電器や、小型の電源タップを持っていくと、一度にまとめて充電できて便利です。
荷物を賢く積むコツ(バッグ選び)
これだけの荷物をバイクにどう積むかも重要なポイントです。バイクの運動性能を損なわないよう、適切なバッグを選びましょう。
タンクバッグ
財布やスマホ、地図など、頻繁に取り出す小物を入れるのに最適です。マグネット式や吸盤式があり、バイクのタンク形状に合わせて選びます。最近では給油口のリングに固定するタイプもあり、タンクに傷がつきにくいのが特徴です。
シートバッグ
宿泊ツーリングのメインとなるバッグです。リアシートに固定するタイプで、容量も数リットルから数十リットルまで様々です。重心が低く安定するため、操縦への影響が少ないのがメリットです。防水カバーが付属しているものや、荷物の増減に合わせて容量を拡張できるタイプが便利です。
バックパック(リュック)
身につけるためバイクから離れる際の移動が楽ですが、長時間背負っていると肩や腰に負担がかかり、疲労の原因になります。重い荷物はシートバッグに入れ、バックパックには軽いものや貴重品だけを入れるようにすると良いでしょう。
まとめ:準備万端で最高のツーリングを!
ツーリングの持ち物は、行き先や季節、宿泊日数、そしてライダー自身のスタイルによって変わってきます。今回ご紹介したリストを参考に、自分なりの「持ち物チェックリスト」を作ってみてください。
初心者のうちは「あれもこれも」と不安になって荷物が増えがちですが、経験を重ねるうちに「これは使わなかったな」「あれがあれば良かったな」という自分だけのデータが蓄積されていきます。そうして厳選されたアイテムと共に走るツーリングは、身軽で自由で、何よりも楽しい時間になるはずです。
しっかりと準備を整えて、不安のない状態でバイクのエンジンをかけましょう。素晴らしい景色と心地よい風が、あなたを待っています。安全運転で、行ってらっしゃい!
