「MT-09が欲しいけれど、買ってから後悔したくない」
そんな悩みを抱えていませんか?
圧倒的なトルクと軽量な車体で人気のMT-09ですが、実はオーナーの評価が「最高」と「最悪」に二分される特殊なバイクでもあります。その原因は、シートの硬さ? 燃費? それともエンジンの過激さ?
本記事では、MT-09オーナーのリアルな声を分析し、購入後に後悔する人と、一生の相棒になる人の「決定的な3つの違い」を徹底解説。これを読めば、あなたがMT-09に乗るべきかどうかがハッキリ分かります。
はじめに:MT-09は「誤解」されやすいバイク?
ヤマハが誇る「マスター・オブ・トルク」、MT-09。そのアグレッシブなデザインと、軽量な車体に搭載されたパワフルな3気筒エンジンは、多くのライダーを魅了してやみません。しかし、ネット検索窓に「MT-09」と打ち込むと、サジェスト(予測変換)の上位に不穏なワードが出てくることに気づくはずです。
「MT-09 後悔」
なぜ、これほど人気のあるバイクなのに「後悔」という言葉が付きまとうのでしょうか?
実は、MT-09は「誰にでも勧められる優等生バイク」ではありません。乗り手を選ぶ、非常に尖ったキャラクターを持っているのです。購入後に「こんなはずじゃなかった……」と手放してしまう人と、「一生乗り続けたい!」と溺愛する人。その間には、決定的な認識のズレが存在します。

今回は、MT-09オーナーのリアルな声や、実際のスペック、走行特性を徹底的に分析し、「後悔する人」と「しない人」を分ける3つの決定的な違いについて解説します。これからMT-09の購入を検討しているあなたが、どちら側のライダーなのかを見極めるための判断材料としてください。
決定的な違い1:「刺激」を愛するか、「安らぎ」を求めるか
MT-09を買って後悔するかどうかの最大の分かれ道は、あなたがバイクに何を求めているかという根本的な価値観にあります。一言で言えば、「脳みそを揺さぶるような刺激」が欲しいのか、「心穏やかな安らぎ」が欲しいのかの違いです。

「マスター・オブ・トルク」の洗礼とAモードの衝撃
MT-09の最大の魅力であり、同時に最大の「後悔ポイント」になり得るのは、そのエンジン特性です。ヤマハが「クロスプレーン・コンセプト」に基づいて開発したCP3(直列3気筒)エンジンは、アクセルを開けた瞬間に怒涛のトルクを発生させます。
「後悔しない人」にとって、これは至高の快楽です。信号待ちからの発進、高速道路での追い越し、ワインディングの立ち上がり。右手をひねるだけでフロントタイヤが浮き上がりそうになる加速感は、ドーパミンがドバドバ出るような中毒性があります。
一方で、「後悔する人」は、この特性に疲れてしまいます。特に初期型ドライブモードの「Aモード(最もレスポンスが良いモード)」では、アクセル操作に対する反応が過敏すぎると感じることがあります。街中の渋滞や低速走行時に、バイクがギクシャクしてしまい(ドンツキ)、乗っていて気疲れしてしまうのです。
「もっとスムーズに、穏やかに走りたいのに、バイクが常に『早く開けろ』と急かしてくるようだ」と感じる人は、MT-09のキャラクターと相性が悪い可能性があります。
もちろん、現行モデル(Gen4)や最近のモデルでは電子制御が進化し、穏やかなモードを選べばスムーズに走れます。しかし、MT-09の本質はあくまで「野獣」です。羊の皮を被ることすら忘れた狼のようなバイクであることを理解しておく必要があります。

ツーリングでの快適性(シート・風圧)の真実
「週末はのんびりロングツーリングを楽しみたい」
そう考えてMT-09を選ぶと、痛い目を見るかもしれません。文字通り、お尻が「痛い」目に遭うのです。
MT-09の純正シートは、スポーツ走行時の体重移動のしやすさを優先しており、クッション性は二の次です。形状がフラットで薄く、少し前傾姿勢になるため、開始1時間もすればお尻の骨が悲鳴を上げ始めます。これがいわゆる「MT-09の三角木馬」問題です。
さらに、ネイキッドバイクの宿命である「風圧」も容赦ありません。時速100kmを超えると、上半身に強烈な走行風を受けます。カウルのあるツアラーバイクから乗り換えた人は、「高速道路がこんなに辛いとは思わなかった」と後悔することが多いのです。
逆に「後悔しない人」は、最初からこれを割り切っています。「風を感じるのがバイクだ」「お尻が痛ければ休憩すればいい(またはシートを変えればいい)」とポジティブに捉えられるかどうかが、大きな違いとなります。
決定的な違い2:航続距離(燃費)に対する「割り切り」があるか
2つ目の決定的な違いは、実用面における「航続距離」への許容度です。これは地味なポイントに見えますが、実際のバイクライフにおいてはボディブローのように効いてくる要素です。
タンク容量14Lの現実と「給油の頻度」
MT-09の燃料タンク容量は14リットルです。これは同クラスの大型バイクと比較しても、明らかに少ない部類に入ります(例えば、同社のトレーサー9GTは18リットル以上入ります)。
実燃費がリッターあたり20km前後だと仮定すると、計算上の航続距離は280kmです。しかし、精神衛生上、燃料計の目盛りが減り、警告灯が点灯するのは200km前後から。つまり、ツーリング中は「200km走るごとに給油ポイントを探さなければならない」というプレッシャーと戦うことになります。
「後悔する人」は、この頻繁な給油をストレスに感じます。
「仲間はまだ走れるのに、自分だけ給油が必要で迷惑をかける」
「山奥のツーリングでガソリンスタンドが見つからず、冷や汗をかいた」
こうした経験が積み重なり、バイクに乗るのが億劫になってしまうのです。

長距離ツアラーとしての資質を見極める
一方で「後悔しない人」は、このタンク容量を「軽量化の恩恵」と捉えます。ガソリンが少ないということは、それだけ車体が軽いということです。MT-09の驚異的な軽快なハンドリングは、この小さなタンクのおかげでもあります。
また、そもそも「200kmも走れば人間の方が疲れて休憩したくなるから、ちょうどいい給油タイミングだ」と考える人もいます。
あなたのツーリングスタイルが、「北海道を一日中走り続けるようなグランドツーリング」なのか、「近場の峠をサクッと走って帰ってくるスポーツラン」なのか。後者であれば、14Lタンクは欠点ではなく、むしろ軽さという武器になります。
決定的な違い3:足回りと装備への「投資」を惜しまないか
3つ目の違いは、車両購入後の「カスタムやグレード選び」に対する考え方です。MT-09は、ある意味で「素材」としての良さが光るバイクであり、自分好みに仕上げる楽しさ(または必要性)があります。
スタンダードとSP、どっちを選ぶべき?
ここ数年のモデルでは、上級グレードである「SP(スペシャル)」が用意されています。オーリンズ製のリアサスペンションや、調整機能が充実したKYB製のフロントフォーク、クルーズコントロール(年式による)などが装備されています。
「後悔する人」の中には、予算を抑えてスタンダードモデルを購入したものの、サスペンションの動きに不満を感じるケースが少なくありません。特に初期〜中期のスタンダードモデルのリアサスペンションは、よく動く反面、落ち着きがないと評されることがあり、「コーナーでフワフワして怖い」「跳ねる」といった感想を持つ人がいます。
結局、後から高価な社外サスペンションを入れることになり、「最初からSPを買っておけばよかった……」と後悔するのです。
「お尻が痛い」問題への解決策
先述したシートの痛み問題についても同様です。
「後悔しない人」は、快適性を手に入れるための追加投資を惜しみません。ヤマハ純正のオプションである「コンフォートシート」を導入したり、シート加工業者に依頼してゲルザブ(衝撃吸収材)を埋め込んだりします。
「大型バイクなんだから、ノーマルの状態で完璧であってほしい」という期待が強すぎると、MT-09のスパルタンな仕様に幻滅してしまいます。「自分に合わせてカスタムしていくのも楽しみの一つ」と捉えられる柔軟性が、長く付き合っていくための鍵となります。
2024年モデル以降(Gen4)で知っておくべき「新・後悔ポイント」
現在、新車で購入できる最新モデル(Gen4・2024年〜)についても触れておく必要があります。大幅な進化を遂げた一方で、新たな「賛否両論」ポイントが生まれています。

ウインカーとスイッチ類の操作性
最新モデルでは、デザインが一新されたスイッチボックスが採用されていますが、これが一部のユーザーから「操作しにくい」と不評を買っています。
特にウインカーのスイッチが従来のプッシュキャンセル式ではなく、ボタンのような感触であったり、ハイビームやホーンの配置が独特で、冬用の厚手グローブをしていると誤操作しやすいという声があります。
また、最新の「スマートキーシステム(SPモデル等)」についても、メインキーはスマートキーなのに、給油口のキャップ開閉には物理キーが必要という仕様(2024年モデル時点)になっており、「中途半端で面倒くさい」と感じる人がいます。これらは些細なことのようで、毎回の乗車に関わるため、実車で操作感を確認しておくことを強くおすすめします。
Y-AMTという新しい選択肢
一方で、朗報もあります。クラッチ操作を自動化するY-AMT(ヤマハ・オートメーテッド・マニュアル・トランスミッション)の登場です。
「渋滞でのクラッチ操作が辛い」「エンストの恐怖から解放されたい」という理由でMT-09を躊躇していた人にとっては、これは最強の武器になります。
しかし、ここでも「後悔」のリスクはあります。「やっぱり自分でクラッチを繋いで、ウィリーコントロールをする感覚が欲しかった」と、マニュアル操作のダイレクト感を懐かしむパターンです。Y-AMTは非常に完成度が高いシステムですが、自分がバイクに「操作する喜び」をどれくらい求めているか、冷静に自問する必要があります。
まとめ:MT-09はこんな人におすすめ
MT-09を買って後悔する人としない人の違いを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
最後に、これまでの分析に基づき、MT-09が「最高の相棒」になる人の特徴をまとめます。
刺激中毒者: トルクの波に乗る加速感こそがバイクの醍醐味だと信じている人。
割り切り上手: 「お尻が痛い? 休憩すればいい」「タンクが小さい? 軽くて最高」とポジティブ変換できる人。
短距離集中型: 往復200〜300km程度の峠道ツーリングや、街中の機動力を重視する人。
カスタム思考: 不満があれば、パーツを変えて自分好みにすればいいと考えられる人。
進化を受け入れる人: 独特なフロントマスクや、最新の電子制御デバイスを「カッコいい」「便利」と楽しめる人。
逆に、「安楽に、遠くまで、何もいじらずに快適に移動したい」という人は、MT-09ではなく、兄弟車の「TRACER9 GT」や、他社の4気筒ツアラーを選んだ方が、幸せなバイクライフを送れる可能性が高いでしょう。
MT-09は、ハマれば抜け出せない魅力を持った、唯一無二の「ダークサイド・オブ・ジャパン」です。この尖ったキャラクターを愛せる覚悟があるなら、迷わず契約書にハンコを押してください。そこには、他のバイクでは決して味わえない、刺激的な日常が待っています。
MT-09は、ただの移動手段ではありません。あなたの理性と本能を試す、挑戦状のようなバイクなのですから。

