かつて「憧れ」だけで乗っていたバイクも、今は「維持費」や「リスク」を天秤にかけるようになった。そんな慎重派のあなたにこそ、おすすめしたいツーリングスポットがあります。群馬県の碓氷峠にある「めがね橋」です。
明治時代に作られたレンガ造りの巨大アーチは、単なる映えスポットを超えた、大人の知的好奇心を満たす産業遺産。そして、そこへ至る国道18号旧道は、適度なワインディングを楽しめる名コースでもあります。
しかし、久しぶりの峠道に不安はありませんか? 「立ちごけしたらどうしよう」「路面は荒れていないか?」そんな不安を払拭するため、路面状況から安全な駐車場の位置、そして確実に美しい写真を撮るためのロジックまで、徹底的に解説します。無駄なく、安全に、そして確実に満足できるツーリングプランを、ここで手に入れてください。
なぜ今、碓氷峠の「めがね橋」を目指すべきなのか
まず、この場所を目指す「論理的な理由」を整理しましょう。なんとなく走って、なんとなく帰ってくるだけのツーリングに虚しさを感じる方でも、ここなら納得感を持ってハンドルを握れるはずです。

明治の産業遺産としての圧倒的な存在感
通称「めがね橋」と呼ばれる碓氷第三橋梁は、1892年(明治25年)に完成したレンガ造りのアーチ橋です。高さ31メートル、長さ91メートルという規模は、国内最大級。
200万個以上のレンガが積み上げられたその姿は、現代のコンクリート建築にはない「温かみ」と「重厚感」を持っています。クラシックなネイキッドやクルーザーはもちろん、最新のSS(スーパースポーツ)であっても、この橋の前では絵画のようなコントラストを生み出します。

「カーブ184」の程よい達成感
碓氷峠の旧道(国道18号)は、群馬県の坂本宿から長野県の軽井沢まで続く峠道です。ここには「カーブ184」という標識がある通り、大小様々なコーナーが続きます。

「そんなにカーブが多いと、久しぶりの運転では怖いのではないか?」と不安に思うかもしれません。しかし、碓氷峠の旧道は道幅が比較的広く、路面も全般的にきれいに舗装されています。見通しの悪いヘアピンカーブもありますが、交通量はバイパスのおかげで少なめです。
自分のペースを守って走れば、バイクを操る楽しさを安全に再確認できる、絶好の練習コースと言えるでしょう。
リターンライダー必読! 碓氷峠(旧道)の走行注意点
「かっこいい」よりも「安全」が最優先です。現地でヒヤリとしないために、事前に把握しておくべきリスク情報を共有します。

センターラインの「キャッツアイ」に注意
碓氷峠のカーブには、センターライン上に「キャッツアイ(道路鋲)」が設置されている箇所が多くあります。追い越し防止や視線誘導のためのものですが、バイクでこれを踏むとハンドルを取られたり、雨上がりにはスリップの原因になったりします。
アウト・イン・アウトを意識しすぎてセンターライン寄りを走ると危険です。キープレフトを徹底し、キャッツアイには近づかないライン取りを心がけてください。

落ち葉と湧き水
木々が鬱蒼と茂るエリアでは、路面に落ち葉が積もっていることがあります。特に濡れた落ち葉は氷のように滑ります。また、晴れていても山肌から湧き水が染み出しているコーナーも存在します。
「メーカーのカタログスペック」よりも「現場の路面状況」を信じてください。カーブの手前では十分に減速し、路面の色が変わっている場所はバイクを寝かさずに通過するのが鉄則です。
大事なバイクを倒さないための「駐車場」事情
大型バイクやハーレーに乗る私たちにとって、最大の懸念事項は「駐車場の地面」ではないでしょうか。砂利道や傾斜地で立ちごけして、レバーやカウルを傷つけることだけは絶対に避けなければなりません。
めがね橋の駐車場は「300メートル手前」
めがね橋のすぐ真下には、バイクを停める安全なスペースはほとんどありません。橋の目の前の路肩に無理やり停めて写真を撮ろうとするライダーもいますが、交通の妨げになりますし、傾斜があるため立ちごけのリスクが高いです。
正解は、めがね橋から約300メートル(のぼり方面)にある「めがね橋駐車場(無料)」を利用することです。
- 路面状況: アスファルト舗装されています。
- 傾斜: ほぼ平坦ですが、一部緩やかな勾配があります。ギアを1速に入れ、ハンドルを左に切って停めれば問題ありません。
- 広さ: 大型バスも停まれる広さがあります。
ここから橋までは徒歩で5分程度かかりますが、整備された遊歩道を歩くことができます。大切な愛車を安全な場所に置いて、まずは徒歩でロケハンをする。これが大人の余裕です。
「愛車×めがね橋」最高の1枚を撮るアングル
安全を確保した上で、いよいよ撮影です。SNSで「いいね」をもらうためというよりは、自分の愛車の造形美を記録に残すための撮影ガイドです。
橋を見上げるアングル(国道沿い)
めがね橋の巨大さを表現するには、下から見上げるアングルが最適です。
ただし、前述の通り、橋の真下は駐停車禁止ではありませんが、カーブの途中であり非常に危険です。交通量が極端に少ないタイミングを見計らい、路側帯の広い安全な場所に一時的に停車し、素早く撮影するか、あるいは駐車場から歩いて戻り、手前の安全な場所から望遠レンズ(スマホのズーム)で狙うのが賢明です。

トンネル越しの構図(アプトの道)
駐車場から続く遊歩道「アプトの道」を歩いて橋の上に登ることができます(バイクは進入禁止です)。

橋の上からは、遠くの山並みや眼下の国道を見下ろせます。ここでは「バイクのある風景」ではなく、ご自身が橋の上に立ち、壮大な景色と共に記念撮影をするのがおすすめです。奥様への報告用に「こんな歴史的な場所に来たよ」という写真を送るのにも最適です。
効率よく満足度を高める「周辺の立ち寄りスポット」
めがね橋を見ただけで帰るのは非効率です。近隣には、絶対に外さない定番スポットがあります。
峠の釜めし本舗 おぎのや 横川店
「食事で失敗したくない」なら、迷わずここです。国道18号沿いにある、言わずと知れた名店。
広い駐車場があり、バイクも安心して停められます。温かい釜めしは、冷えた体に染み渡る美味しさです。益子焼の土釜は持ち帰ることもできますが、荷物になるのが嫌な場合は、回収ボックスに入れて帰ることも可能です。

碓氷峠鉄道文化むら
メカ好きの男性なら、間違いなく楽しめる場所です。かつて碓氷峠を越えていた電気機関車などが展示されています。「機械としての美しさ」に触れる時間は、バイク乗りの感性を刺激してくれるでしょう。
まとめ:準備こそが成功の鍵
碓氷峠「めがね橋」へのツーリングは、歴史、走り、景色のバランスが取れた、非常にコストパフォーマンスの高いプランです。

最後に、これだけは確認してください。
冬季(例年12月〜3月頃)や春先は、路面凍結や積雪のリスクがあります。また、濃霧が発生しやすい場所でもあります。出発前には必ず現地の天気予報と道路交通情報をチェックしましょう。
無理をして走る必要はありません。条件が悪いと感じたら、勇気を持って引き返す。それが、長くバイクライフを楽しむための、最も賢い選択です。
